こんにちは、りつです!
薬剤師の皆さんは薬の説明の際、患者さんにわかりやすいように、比喩表現や簡単な言葉を使うなど工夫されていらっしゃるかと思います。
今回は以前、当薬局に在籍していた先生で少し独特な薬の説明をされていた方についてのお話です。
それでは始めていきます。
うがい薬
戸田さんという1つ上の先輩が入社した当初のお話です。
他薬局で勤務していたようですが3ヶ月で退社し、当薬局へご縁があり再就職されたようです。
上司は戸田さんの実力を見るために、実際に患者さんへ服薬指導(患者さんからの聞き取り・薬の説明など)をしてもらったようです。
その時の処方がこちらのうがい薬です。
ネオヨジンガーグル液7% 50mL
1日数回 うがい
(今ではネオヨジンガーグルではなくポビドンヨードガーグルとなりましたね😅)
戸田さん:Aさんこんにちは。今日は、のどの調子が悪くて受診したんですか?
Aさん :そうですね。のどがイガイガするので念のために診てもらったんですが、うがい薬で様子を見ましょうと言われました。
戸田さん:そうですか。こちらのうがい薬は、コップに水をジャーっと入れて、この薬をガーっと入れて、ガラガラペっとして下さい。
Aさん :・・・・はい?
戸田さん:お大事にどうぞ。
上司 :( ゚д゚)ポカーン
上司は戸田さんに
「擬音語だけの説明で患者さんの理解は得られないよね。指導箋(製薬会社さんが作っている薬の説明書)がある薬はそれを見せながら説明すると伝えやすいよ・・・」
等々その後に丁寧に教えたようです。
よほど上司の心に深く刻まれたのか、新人薬剤師が入社するとこの逸話を聞かせているようです。
私も擬音語を多用しないように注意しようと思います💦
Ca拮抗薬
私と同じ大学出身で川村さんという先生についてです。
この方は新卒で当薬局に入社しました。
勉強はできるのですが、あまり人の話を聞かないタイプの人でした😅
川村さんに対しても上司が指導担当をしていました。
なんとか川村さんも服薬指導のステップまで進めたのですが、ここでも上司の頭を悩ませていました。
初服薬指導の時の処方はこんな感じでした。
ノルバスク錠2.5mg 1錠
1日1回 朝食後 30日分
川村さん:Bさん、こんにちは。
Bさん :こんにちは。
川村さん:今日は降圧薬が出ています。
Bさん :降圧薬?
川村さん:はい。この薬は、細胞膜のカルシウムチャネルに結合して、細胞内にカルシウムイオンの流入を減少させることによって、血管平滑筋を弛緩させて降圧作用を発揮する薬です。
Bさん :?????
川村さん:用法は1日1回朝食後に1錠服用して下さい。30日分です。
Bさん :はい・・・。
川村さん:グレープフルーツにはフラノクマリン類が含まれていて、CYP3A4を阻害して作用増強する恐れがあるので摂取しないでください。
Bさん :?????
川村さん:お大事にどうぞ。
上司 :( ゚д゚)ポカーン
上司は一瞬思考が停止したようでしたが、慌ててBさんを呼び止めてわかりやすい言葉で説明していました。
その後、川村さんには患者さんでもわかるような表現で説明しないといけないということを教えていました。
そこから少しだけ意識するようになったのか、添付文書の作用機序をそのまま話すようなことはなくなりました。
ただ、専門用語をそのまま使ったりということはしばらく続いていたように感じましたが😅
吸入剤
次は、現在他店舗で勤務されている、少し前に還暦を迎えた名取さんという先生についてです。
ちょっと豪快で遠慮のない所がありますが、裏表のない真っ直ぐな方です。
たまに変わった表現を使う先生なので、思わず「えっ?」となってしまった事例です。
その時の薬がこちらの吸入剤です。
アドエア250ディスカス60吸入用 1キット
1日2回 1回1吸入
名取さん:Cさんこんにちは。今日は吸入の薬が出てるけど喘息?
Cさん :そうですね。小さい頃はたびたび病院にかかっていました。
名取さん:そっかそっか。こういう形の吸入は使ったことある?
Cさん :(少し考えながら)これは・・・初めてだと思いますね。
名取さん:大丈夫!説明するからすぐ覚えられるよ!
Cさん :そうですか。お願いします。
名取さん:(デモ機を使いながら)まずグリップをカチッと音が鳴るとこまで回してね。
Cさん :はい。
名取さん:次にレバーをグリップ側にカチッと音がするまで回してね。
Cさん :はい。
名取さん:そしたら息を吐いて、吸入器を水平に持って口にくわえてね。
Cさん :はい。
名取さん:そしたら蕎麦をすするように一気に吸い込んで!
Cさん :?!
名取さん:吸い込んだら3秒くらい息を止めてー。1、2、3、はい、ゆっくり吐き出してー。
Cさん :はい。
名取さん:終わったらカンジダ(カビ)ができないようにうがいしてね。吸入器もグリップの所を回して最初のように戻してね。
上司・私:・・・・蕎麦?
私達はそのような表現を使ったことがなかったため、とても不思議な気持ちになりました。
ただ、よくよく考えてみると確かにイメージしやすく、強く一気に吸えるのでいい表現なのかもしれないですね。
後で調べてみると「うどんをすするように」というような表現を使われている方もいらっしゃるようですね。(それが一般的なのかな?😅)
患者さんがイメージしやすいように表現を変えることも必要なのかなと思いました。
おわりに
さて、どうだったでしょうか?
最初の2人の先生の薬の説明についてはかなり極端でしたね。
私も当初、説明に自信がある方ではなかったので、専門用語を患者さんにわかりやすいような表現に言い換えることに苦労しました。
さすがに添付文書の作用機序をそのまま話すようなことはしませんでしたけどね😅
名取さんについてはちょっとびっくりしましたが、イメージしやすい表現をされていたので参考にしていきたいと思いました。
結局のところ、相手にわかってもらえなければ、服薬指導に何の意味もないですよね。
説明して終わりではなく、その後もしっかり理解して服用・使用できているかのフォローアップも重要です。
私も患者さんに合わせて分かりやすい表現をしつつ、もしもわからなくなった場合・心配な場合はご連絡いただくようお伝えしていけたらと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。