【薬局向け】「服薬情報等提供料2」を算定する方法

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皆さんこんにちは。りつです。

今回は調剤薬局の方向けの記事になります。

この記事では、

  • 服薬情報等提供料とは何か?
  • どんなメリットがあるか?
  • どんな場面で情報提供したらよいか?

について解説いたします。

 

目次

服薬情報等提供料について

服薬情報等提供料とは?

まず服薬情報等提供料は、ざっくり言うと、

自分の薬局で調剤し、その後の情報提供をした時に取れる点数

ということになります。

これは服薬のフォローアップにもつながるものになりますね。

もともと服薬情報等提供料は1・2の2区分だけでしたが、新たに同提供料3が新設されました。

これらは各対象によって以下のように区分されています。

  • 服薬情報等提供料1:医療機関の求め
  • 服薬情報等提供料2:患者・家族の求め or 薬剤師が必要性を認めたもの
  • 服薬情報等提供料3:医療機関の求め(入院前の患者に対して)

 

タイトルであえて服薬情報等提供料「の算定をする方法としたのは、薬局側が能動的に行えるためです。

もちろん同提供料1、3の算定を推奨しないというわけではありません。

新規処方薬のためフォローアップしてほしい・入院前で併用薬の情報提供をしてほしい等の要望が医師からあった場合は、積極的に行っていただければと思います。

 

日医工製薬さんの資料では、より詳しく説明されているため以下をご参考下さい。

日医工MPS資料No.20220428-1112-2より

 

算定の流れ

こちらも日医工製薬さんの以下の資料をご参考下さい。

日医工MPS資料No.20220428-1112-2より

 

情報提供する上で、特に重要なのは「患者の同意を得る」ことが必要な点です。

これは全ての区分で共通の注意点になります。

同意を得ずに情報提供して患者さんとトラブルになってしまうことがないよう注意しましょう。

※大抵の患者さんはご了承いただけるのですが、中には医師への情報提供を希望しない方もいらっしゃいます。

 

また少しややこしい部分なのですが、情報提供をした「時点」では算定できません

次回」処方箋を受け付けた時に算定できるという点も注意しましょう。

さらに算定は月1回までとなりますので、2回、3回と情報提供のチャンスがあっても複数回算定できない点も注意しましょう。

 

↓以下の本は今回紹介した加算について詳しくわかるためおすすめです。

※紙の本だと値段が2倍以上するためkindle版がおすすめです。

 

どんなメリットがあるか?

服薬情報等提供料は1回20~50点がつくこと自体がメリットではあるのですが、他にもメリットとなることがあるためご紹介していきます。

地域支援体制加算の算定要件を満たせる

地域支援体制加算を算定する上で必要な要件に「服薬情報等提供料の実績」があります。

この加算が取れるか取れないかで、かなり調剤報酬に差がつきます(17~47点)。

「地域支援体制加算を算定する方法」について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧下さい。

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患者さんの不安・不満を解消できる

患者さんの中には治療に対して不安や、場合によっては不満を抱いている方もいらっしゃいます。

そういったネガティブな部分を医師への情報提供・提案によって解決できることがあります。

患者さんとの信頼関係を築けることもメリットの1つと考えられると思います。

 

医師との信頼関係を築ける

医師も診察では分からないこともあります。

医師へ話しにくかった患者さんの治療に対する意向、他院でも治療を受けていることなどを薬局で知り得ることはよくあります。

それらを医師へフィードバックすることで今後の治療計画に貢献できると思います。

有用な情報を共有することで医師とも信頼関係を築ける点もメリットの1つであると思います。

 

どんな場面で情報提供をしたらよいか?

以下のような場面では情報提供のチャンスです。

  • 一包化の提案
  • 剤形変更(類似する剤形同士以外への変更について)の提案
  • 用法変更の提案
  • 相互作用回避のための指導・提案
  • 併用薬についての情報提供
  • フォローアップした場合

当薬局で特に情報提供する場面について紹介いたします。

他にも情報提供として有用な場面というのはあるかと思いますので、一例としてご参考いただければ幸いです。

 

①飲み忘れ・飲み間違いが多い → 一包化の提案

ご高齢な方・多剤併用されている患者さんでは、特に飲み忘れ・飲み間違いが生じやすいです。

またリウマチなどの疾患によってヒート包装から薬を出すのが困難という方もいらっしゃいます。

このような方には一包化について、実物の分包紙を見ていただきながら説明しています。

その上で、今回から一包化にしてほしいという方であれば疑義照会をします。

時間の都合等で次回からの希望という方であれば、その旨医師へ情報提供するというような対応をしています。

 

②薬が飲みにくい → 剤形変更の提案

ご高齢な方・お子さんでは、錠剤が飲み込みにくい散剤だとむせやすいなどのご相談もあります。

その場合はまず「オブラート」「らくらく服用ゼリー」「おくすりのめたねゼリー」を紹介しています。

それでも厳しそうな場合は、患者さん(ご家族)へどのような剤形であれば飲めそうかということをお聞きし、医師へ剤形変更の提案をしています。

※お子さんの場合では直接、疑義照会で剤形を変更していただく場面の方が多いと思います。

 

③飲み忘れやすい用法 → 用法変更の提案

服用時点が複数あるために飲み忘れるという相談もあります。

高齢者に限らず、働き盛りの若い方でも多い印象です。

特に「食前」や「お昼」に処方されている薬の飲み忘れが非常に多く見受けられます。

添付文書上問題がない場合は、患者さんの生活に合わせて用法変更の提案もしています。

 

例:他の薬が全て朝食後処方、アマリール錠(グリメピリド)のみ朝食前処方

アマリール錠だけ頻繁に飲み忘れてしまう

→アマリール錠を「朝食後」へ用法変更の提案

 

④相互作用回避のための服薬指導の内容・提案

薬の中には薬物間相互作用が問題となるものがあります。

ここでは特に難溶性キレートを形成してしまう薬同士について着目します。

併用そのものに問題がある場合は疑義照会を行うべきですが、「服薬のタイミングをずらす」ことによりこの相互作用を避けることが可能な場合があります。

この指導を行った後、指導内容(場合によっては用法変更の提案)を医師に情報提供することも有用だと思います。

 

例:ミノマイシン錠50㎎(ミノサイクリン)とフェロミア錠50㎎(クエン酸第一鉄ナトリウム)の併用

各種添付文書の相互作用を見てみましょう。

10.相互作用

 10.2併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ランタン又は鉄剤本剤の吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがある。
両剤の服用間隔を2~4時間とすること。
本剤と二価又は三価の金属イオンが消化管内で難溶性のキレートを形成して、本剤の吸収を阻害する。
ミノマイシン錠50mgの添付文書より

10.相互作用

 10.2併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
テトラサイクリン系抗生物質相互に吸収を阻害する。相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相互に吸収を阻害する。
フェロミア錠50㎎/フェロミア顆粒8.3%の添付文書より

フェロミア側では服用間隔の具体的な時間記載がないため、ミノマイシンの措置方法に従うことにします。

患者さんへは両者の服用を2~4時間あけるよう説明します。

※どうしても無理そう・忘れてしまうのが心配という方には、疑義照会をして用法変更の確認をします。

アドヒアランス良好な方では、指導した内容を医師へフィードバックします。

もともと少し飲み忘れがある方では、数日後にフォローアップを行った後に医師へフィードバックすることが望ましいと思います。

  

④他の病院で処方されている薬を情報提供する場合

同じ適応症に対して別々の病院で治療中の場合。

作用機序が重複しない場合です。重複の場合は疑義照会が必要です

例:高血圧症に対して、A病院でCaブロッカー(アムロジピン等)処方、B病院でARB(テルミサルタン等)処方

 

・異なる適応症で治療中だが、適応が広いために重複処方されやすい薬が処方されている場合

例:A病院でうつ病治療中(レメロン等処方)、B病院で慢性腰痛症サインバルタ(デュロキセチン)処方中

余談ですが病院薬剤師さんとお話する機会があったのですが、サインバルタは中々くせもののようです。

慢性腰痛症に処方されるケースがかなり多くなったため、精神科医が苦労しているとのことでした・・・。

疼痛コントロールのアプローチの幅が広くなった点に関しては良いことなんですけどね。

 

※それぞれの処方医が、相互に併用薬の情報共有して了解している場合はこの限りではありません。

 

⑤フォローアップした場合

2020年9月からフォローアップが義務化され、もう3年が経ちます。

フォローアップとは、

調剤後も服薬状況・体調変化などをチェックして継続的に服薬指導を行いましょう!

という考え方ですね。

麻薬処方において、「麻薬管理指導加算」の算定要件はフォローアップ前提ですので特に馴染み深いと思います。

またリフィル処方箋副作用リスクの高い薬が追加された場合などもフォローアップの必要性は高いと思います。

※糖尿病治療でインスリン製剤、SU薬が新規処方になり条件を満たした場合は調剤後薬剤管理指導加算」を算定することになるかと思います。

 

フォローアップは薬局→患者で終わらせず、その後医師へフィードバックすることも大切だと思います。

何でも闇雲に情報提供すれば良いというわけではないですが、例えば新規薬の服用において副作用発現がなく経過良好であることを報告することも、その後の治療計画を立てる上でも役立つのではないでしょうか。

 

まとめ

服薬情報等提供料についてのまとめです。

  • 服薬情報等提供料とは「自分の薬局で調剤し、その後の情報提供をした時に取れる点数」
  • 同提供料は1、2、3の区分がある
  • 同提供料2に関しては薬局側が能動的に行えるので算定しやすい
  • 地域支援体制加算の算定要件の1つに「服薬情報等提供料の実績」がある
  • 患者さん・医師との信頼関係を築ける
  • 患者さんの不安な点・要望などを普段から意識して聞くようにすると情報提供・処方提案につなげやすい

 

おわりに

いかがでしたか?

調剤報酬は来年度にまた改定があるため、多少要件の変化などあるかもしれません。

しかし、近年では対人業務が重視されているため、薬剤師から医師への介入についてはこれからももっと必要になると考えられます。

今の内から医師への情報提供について意識的に取り組んでおけると良いと思います。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

また次回の記事もお読みいただけるとうれしいです。

それでは。

 

参考文献

1)医療関係者向け情報サイト「武田テバDI-net」定期情報誌 2022年4月15日30号

2)厚生労働省 令和4年度調剤報酬改定の概要 (調剤)(P27~28)

3)面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.3 薬学管理料編ー前編ー: 外来患者に算定するもの(令和4年度改定版)(P73~86)

4)服薬情報等提供料1,2,3の調剤報酬全点数解説 – 2022年度|Stu-GE – 日医工

5)「麻薬管理指導加算」調剤報酬全点数解説 – 2022年度|Stu-GE – 日医工

6)公益社団法人日本薬剤師会 薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き(第1.2版)

7)各種添付文書(ミノマイシン錠50㎎、フェロミア錠50㎎/フェロミア顆粒8.3%)

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