みなさんこんにちは!りつです!
今回は精神科領域でよく処方されているレキサルティ(成分名プレクスピプラゾール)に日本で唯一の適応が追加になりました。
今回の記事を読めばレキサルティについて以下のようなことがわかります。
- どんな適応なのか?
- どのようなメリットがあるか?
- 注意しておきたいこと
レキサルティについて
どのような適応なのか?
レキサルティ(成分名プレクスピプラゾール)はエビリファイ(アリピプラゾール)に次ぐ薬効分類の薬です。
適応は統合失調症、うつ病・うつ状態(既存治療で十分効果が認められていない場合に限る)だけでした。
しか今回R6/9/24より、「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃言動」の適応が追加になりました。
〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉
通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回0.5mgから投与を開始した後、1週間以上の間隔をあけて増量し、1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日1回2mgに増量することができるが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。
(レキサルティ添付文書より引用)
認知症患者さんには行動・心理症状(BPSD)が約80%合併すると言われます。
症状としては以下のような症状に分類されます。
- 行動症状:拒絶・不穏・興奮・つきまとい・暴言・暴力・徘徊・性的逸脱行為
- 心理症状:不安・焦燥・うつ状態・幻覚・妄想・誤認
いずれもご本人だけでなく、家族・介護者にとってもかなり負担がかかる症状であり辛い症状です。
メリットについて
今までは「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」に対して、適応外ではありましたがセロクエル(成分名クエチアピン)、セレネース(成分名ハロペリドール)、ルーラン(成分名ペロスピロン)、リスパダール(成分名リスペリドン)がよく処方されていました。
一応、これに関しては公知申請が認められていました。
しかし今回のレキサルティ(成分名プレクスピプラゾール)の適応追加によって、BPSD治療の幅は広がると考えられます。
※臨床試験【BRIDG試験(国内第Ⅱ/Ⅲ相)】でも有効性・安全性が確認されています。
注意したいこと
①以下のような患者さんに対しては注意喚起されています。
- 心・血管疾患、脳血管障害、低血圧、又はこれらの既往歴がある
- てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴がある
- 糖尿病、又はその既往歴や危険因子がある
- 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等
②用法用量が他の適応と異なる点
表にまとめると以下のような用法用量となります。
統合失調症 | うつ病・うつ状態(既存治療で十分効果が認められていない場合に限る) | アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃言動 | |
---|---|---|---|
開始量 | 1日1回1mg | 1日1回1mg | 1日1回0.5mg |
維持量 | 1日1回2mg | 1日1回1mg | 1日1回1mg |
極量 | 1日1回2mg | 1日1回2mg | 1日1回2mg |
増量する場合の間隔 | 4日以上 | 記載なし | 1週間以上 |
開始量が少な目、増量間隔が長めということには特に注意ですね。
③レキサルティ錠1mg/2mgに関しては販売中止
R5/7に出されている情報のため、ご存じの方も多いかと思いますが、レキサルティは「普通錠」に関しては販売中止になっています。
OD錠に一本化した形ですね。
(なぜか普通錠でも新適応を取っているのですけどね・・・。)
経過措置期間満了日(予定)がR7の3月末までなのでまだ使用自体はできますが、経過措置切れには十分ご注意いただきたいと思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
今回の新適応追加は昨日MRさんから情報をいただいて得たものですが、元々使われていたセロクエルなどに適応追加というわけではなかったので正直びっくりしました。
私の勤めている薬局ではご高齢の患者さんが多いため、今後処方になることが多くなると思われます。
日々新しい情報をアップデートしていかなければなりませんね。
今回の記事を最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。
この記事がみなさまの情報収集・勉強のお役に立てれば幸いです。
参考文献
1)添付文書:レキサルティOD錠0.5mg /レキサルティOD錠1mg /レキサルティOD錠2mg
4)大塚製薬 レキサルティ錠・OD錠適応追加承認に伴う適正使用のお願い
5)かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)