グレープフルーツはなぜ薬との相性が悪い?

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みなさんこんにちは!りつです!

世の中には色々な食べ物・飲み物がありますが、中には薬との相性が良くないものも存在します。

薬剤師であればその代表格として、反射的にグレープフルーツ、セントジョーンズワート、お酒あたりが思い浮かぶと思います。

今回は特に説明する機会の多いグレープフルーツについてのお話になります。

先に結論を述べると以下のようになります。

  • グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類が薬の効果を強くしてしまう(一部弱くする薬もあり)
  • フラノクマリン類による効果は長く続くため、薬の服用と間隔をずらしてもほぼ無意味
  • スウィーティー、メロゴールド、晩白柚などもフラノクマリン類が含まれるため注意
  • 心配な場合は気軽に薬剤師にご相談を

このことについて少し詳しく掘り下げて行きたいと思います。

 

目次

グレープフルーツが起こすこと

 

グレープフルーツは甘酸っぱくてとっても美味しいですよね。

個人的にはなりますが、私はグレープフルーツのゼリーが好きです。

患者さん

私グレープフルーツサワー大好きなんだよねー!

という患者さんも意外と多いです。

こんなに美味しいグレープルーツですが、なぜ薬によっては相性が悪いと言われるのでしょうか?

それは「薬の効き目を強くしてしまうから」です。

※例外としてロサルタンという薬については効き目が弱くなります。

 

グレープフルーツの中には、フラノクマリン類と呼ばれる成分が含まれています。

これは以下のような働きをします。

フラノクマリン類がCYP3A4を阻害 → 薬の血中濃度が上昇 → 作用増強

 

一般の方には聞き馴染みのない言葉ですよね。

まずCYP(別名:シトクロムP450)は薬物代謝酵素として働きます。

簡単に言うと、薬を身体の外に捨てやすい形にするものです。

肝臓が解毒・分解をする主役となるのは、このCYPが多く存在するためです。

またCYPは種類がたくさんあるのですが、特に多くの薬の分解に関わるのがCYP3A4と呼ばれるものになります。

 

フラノクマリン類は特にCYP3A4の働きを邪魔することが分かっています。

そうなると薬の分解が滞り、本来よりも血液中に残ってしまう薬の量が増えてしまいます。

すると薬の効果が強くなるので、場合によっては副作用を起こしてしまう可能性が出てきます。 

このような理由から、一部の薬についてはグレープフルーツを摂取しないように説明しています。

また、患者さんからは

患者さん

薬を飲む時との時間をずらせば大丈夫なんでしょ?

このような質問をされることがよくあります。

残念ながら数時間空けた所でほとんど意味はありません。

なぜなら、フラノクマリン類のCYP3A4阻害作用は3~7日とかなり長い間持続するためです。

そのため相性の悪い薬を飲んでいる方は、グレープフルーツの摂取をしないことが無難です。

 

グレープフルーツ以外にも気を付けた方が良い食べ物

グレープフルーツはスーパーなどでも見る機会が多く、身近なもののため特に注意されがちです。

でもグレープフルーツ同様に注意しなければならない食べ物もあります。

スウィーティー、メロゴールド、晩白柚が比較的フラノクマリン類が多いことが確認されています。

といってもグレープフルーツと比べると、あまり馴染みは深くはないかもしれませんね。

他のレモン、かぼす、温州みかんなどはあまり含有量が多くないため安心して食べられます。

 

またフラノクマリン類は果肉よりも果皮に多く含まれます。

グレープフルーツの皮をそのまま食べるという猛者はいないと思いますが・・・。

それならマーマレードはどうなのでしょうか?

ある研究によると、マーマレードとグレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリン類の量はほぼ同じくらいのようです。

これは製造過程において、大量にゆで汁に流れ出てしまったためです。

またフラノクマリン類は加熱によって分解されることが報告されており、実際のマーマレードにはもっと少量しか含まれていない可能性があります。

※95℃,10分間の過熱で半減,1時間でほぼ消失したとのこと。

グレープフルーツジュースと同じ量のマーマレードを食べる方は現実的には少ないと思いますが、影響してしまう薬を服用中の方は避けるのが良いと思います。

 

おまけ(グレープルーツを避けた方が良い薬一覧)

需要があるかどうかわかりませんが、グレープフルーツと併用注意・併用禁忌に該当する薬を以下にまとめてみました。

簡単に言うと、この薬を飲んでいる人はグレープフルーツを摂取してはいけませんよと注意喚起がされている薬になります。

 

一般名先発品名※後発品名
アキシチニブインライタ錠
アジルサルタン・
アムロジピンベシル酸塩
ザクラス配合錠ジルムロ配合錠
アゼルニジピンカルブロック錠アゼルニジピン錠
アトルバスタチンカルシウム水和物リピトール錠アトルバスタチン錠・OD錠
アナモレリン塩酸塩エドルミズ錠
アバコパンダブネオスカプセル
アベマシクリブベージニオ錠
アムロジピンベシル酸塩アムロジン錠/ノルバスク錠アムロジピン錠/OD錠
アムロジピンベシル酸塩・
アトルバスタチンカルシウム水和物
カデュエット配合錠アマルエット配合錠
アメナメビルアメナリーフ錠
アルテメテル・メルファントリンリアメット配合錠
イバブラジン塩酸塩コララン錠
イブルチニブイムブルビカカプセル
イマチニブメシル酸塩グリベック錠
イリノテカン塩酸塩水和物カンプト点滴静注/トポテシン点滴静注/
オニバイド点滴静注
イリノテカン塩酸塩点滴静注液
イルベサルタン・
アムロジピンベシル酸塩
アイミクス配合錠イルアミクス配合錠
ウパダシチニブ水和物リンヴォック錠
エゼチミブ
・アトルバスタチンカルシウム水和物
アトーゼット配合錠エゼアト配合錠
エヌトレクチニブロズリートレクカプセル
エベロリムスアフィニトール錠・分散錠/サーティカン錠
エホニジピン塩酸塩エタノール水和物ランデル錠
エリグルスタット酒石酸塩サデルガカプセル
エルロチニブタルセバ錠
エレトリプタン臭化水素酸塩レルパックス錠エレトリプタン錠
オラパリブリムパーザ錠
オルメサルタン メドキソミル・
アゼルニジピン配合剤
レザルタス配合錠
カボザンチニブリンゴ酸塩カボメティクス錠
カルバマゼピンテグレトール錠・細粒カルバマゼピン錠/細粒
カンデサルタン シレキセチル・
アムロジピンベシル酸塩配合剤
ユニシア配合錠カムシア配合錠
ゲフィチニブイレッサ錠ゲフィチニブ錠
コルヒチンコルヒチン錠0.5㎎「タカタ」
シクロスポリンネオーラスカプセル・内用液/
サンディミュン内服液・点滴静注用
シクロスポリンカプセル
シナカルセト塩酸塩レグパラ錠
シルニジピンアテレック錠シルニジピン錠
シロスタゾールプレタールOD錠・散シロスタゾールOD錠・
内服ゼリー
シロリムスラパリムス錠
シンバスタチンリポバス錠シンバスタチン錠
スニチニブリンゴ酸塩スーテントカプセル
セルメチニブ硫酸塩コセルゴカプセル
タクロリムス水和物プログラフ顆粒・カプセル・注射液タクロリムス錠
タゼメトスタット臭化水素酸塩タズベリク錠
タダラフィルザルティア錠
(アドシルカ錠)
タダラフィル錠・OD錠
タミバロテンアムノレイク錠
ダサチニブ水和物スプリセル錠ダサチニブ錠
ツシジノスタットハイヤスタ錠
テムシロリムストーリセル点滴静注液
テルミサルタン・
アムロジピンベシル酸塩
ミカムロ配合錠テラムロ配合錠
テルミサルタン・
アムロジピンベシル酸塩・
ヒドロクロロチアジド配合剤
ミカトリオ配合錠
トファシチニブクエン酸塩ゼルヤンツ錠
トリアゾラムハルシオン錠トリアゾラム錠
トルバプタンサムスカOD錠・顆粒トルバプタンOD錠・顆粒
トルバプタンリン酸エステル
ナトリウム
サムタス点滴静注用
ナルフラフィン塩酸塩レミッチOD錠ナルフラフィン塩酸塩OD錠・
ODフィルム・カプセル
ニカルジピン塩酸塩ペルジピン錠・散ニカルジピン塩酸塩錠・散
ニカルジピン塩酸塩ペルジピンLAカプセルニカルジピン塩酸塩
徐放カプセル
ニトレンジピンバイロテンシン錠ニトレンジピン錠
ニフェジピンセパミット細粒/
セパミット-Rカプセル・R-細粒/
アダラートCR錠/
ニフェジピン錠・
カプセル・細粒/
ニフェジピンCR錠/
ニフェジピンL錠
ニルバジピンニバジール錠ニルバジピン錠
ニロチニブ塩酸塩水和物タシグナカプセル
バルサルタン・
アムロジピンベシル酸塩配合剤
エックスフォージ配合錠・OD錠アムバロ配合錠・OD錠
バルサルタン・シルニジピン配合剤アテディオ配合錠
バルニジピン塩酸塩ヒポカカプセル
パゾパニブ塩酸塩ヴォトリエント錠
パルボシクリブイブランス錠・カプセル
フィネレノンケレンディア錠
フェロジピンスプレンジール錠フェロジピン錠
フェンタニルクエン酸塩アブストラル舌下錠/
イーフェンバッカル錠
ブデゾニドコレチメント錠/
ゼンタコートカプセル/
レクタブル注腸フォーム
ブリグチニブアルンブリグ錠
ブロナンセリンロナセン錠・散ブロナンセリン錠・散
ベニジピン塩酸塩コニール錠ベニジピン錠
ベネトクラクスベネクレクスタ錠
ベラパミル塩酸塩ワソラン錠ベラパミル塩酸塩錠
ボスチニブ水和物ボシュリフ錠
ボセンタン水和物トラクリア錠/小児用分散錠ボセンタン錠/成人用DS
ポナチニブ塩酸塩アイクルシグ錠
マニジピン塩酸塩カルスロット錠マニジピン塩酸塩錠
ミダゾラムブコラム口腔用液
ミフェプリストン・
ミソプロストール
メフィーゴパック
無水カフェインレスピア静注・経口液
メチルエルゴメトリン
マレイン酸塩
パルタンM錠・注メチルエルゴメトリン
マレイン酸塩注・錠
メフロキン塩酸塩メファキン「ヒサミツ」錠
ラパチニブトシル酸塩水和物タイケルブ錠
ラロトレクチニブ硫酸塩ヴァイトラックビカプセル・内用液
ルパタジンフマル酸塩ルパフィン錠
ルシラドン塩酸塩ラツーダ錠
ロサルタンカリウムニューロタン錠ロサルタンK錠
ロサルタンカリウム・
ヒドロクロロチアジド配合剤
プレミネント配合錠ロサルヒド配合錠
ロミタピドメシル酸塩ジャクスタピッドカプセル

※局方医薬品・準先発医薬品・基礎的医薬品含む

たくさんあるので読むのも嫌になりますね💦

配合錠もあるため数は多くなっていますが、特に血圧を下げる薬との相性が悪いことが多いイメージです。

結論

  • グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類が薬の効果を強くしてしまう(一部の薬は弱くする)
  • フラノクマリン類による効果は長く続くため、薬の服用と間隔をずらしてもほぼ無意味
  • スウィーティー、メロゴールド、晩白柚などもフラノクマリン類が含まれるため注意
  • 心配な場合は気軽に薬剤師にご相談を

 

おわりに

いかがでしたか?

好き・嫌いにかかわらず、飲食物の制限があるというのはあまり心地よいものではありませんよね💦

特にもともと好物だったという方にとっては寂しいものと思います。

母は2~3年ほど前からアムロジピンを服用しています。

もともとグレープフルーツサワーが好きな人なので、焼肉屋さんに行くと必ず注文していましたがそれができなくなってしまい残念そうでした。

特にグレープフルーツは相性の悪い薬が多いので、薬自体を変更することは少し難しいかもしれません。

でもどうしても食べたい・飲みたいという方は処方医・薬剤師へご相談いただければと思います。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。

それでは。

参考資料

1)医療薬学 Vol.32,No. 7 693-699(2006)

2)薬学雑誌 131(5) 679-684(2011)

3)PMDA独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索

4)各添付文書

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