こんにちは、りつです!
世の中には多種多様な健康食品・サプリメント(以下、まとめて健康食品)、特定保健用食品(いわゆるトクホ)、栄養機能食品・・・等々があります。
これらは健康の維持・増進のために、不足している栄養素の補給などに役立ちます。
しかし、中には薬との併用には注意しなければならないものあります。
今回は実際にあったことも含め、健康食品を飲んでいても大丈夫かということについてお話していきたいと思います。
それでは始めていきます。
1年間で100万円以上の健康食品を飲まれていた方
当薬局にいらっしゃる患者さんでは、健康食品を全く摂らないという方の方が多いように感じます。
ただ健康意識が高い方、友達に勧められて、TVの通販を見て・・・など理由は様々あると思いますが摂られている方も少なくはありません。
今回の患者さんでは、そういった複数の理由からか大量の健康食品を摂取されていました。
実際に飲まれていたものとしては、ビタミン群、カルシウム等のミネラル群、DHA・EPA、大豆イソフラボン、セサミン、乳酸菌・ビフィズス菌、ロコモア、リョウシンJV錠、ニンニク卵黄・・・などなど、多すぎてご本人さんも数は正確には把握しておられなかったと思います。
健康食品は案外高めなものも多く、この患者さんでは年間100万円を超えていたそうです💦
たしかに普段のお食事から全てのビタミン等を補うことは難しいので、健康食品などを一部利用するのはとても良いことと思います。
ただ、ビタミン類なども量が多すぎると過剰症とよばれる中毒症状を起こす可能性もあります。
薬に関してはもちろんそうですが、健康食品についても摂り過ぎは危険です。
この方では健康のために摂っていたつもりが、健康診断の結果で去年よりも腎臓の機能が落ちていると医師から指摘されたようです。
当薬局にもその結果の用紙を持ってきていただいたのですが、確かに腎機能が正常値から外れていたため、健康食品の量を減らした方がいいことをお伝えしました。
念のため医師にもその旨、報告書にて情報提供しました。
ただ・・・その方は一時は健康食品を中断したようですが、また摂取を再開しているようです。
無理強いはできないのであまり強くは言えないのですが、私がこの患者さんの薬の説明に当たる際には根気強く過剰症のリスクをお伝えするようにしております。
ワーファリン
これはかなりメジャーですね。
みなさんよく言われる、血液をサラサラにする薬の1つです。
薬が初めて出された際には、
「納豆は食べちゃだめですよ!」
と必ず説明されたのではないでしょうか。
そもそも血が固まるためにはビタミンKが必要になります。
ビタミンKはケガで出血した際、これ以上出血してしまわないように体を守るという防御機能を働かせるためにも必要です。
ただし心臓病などで血栓(血の塊)ができやすくなる患者さんの場合、血栓が脳にまで飛ぶと脳梗塞の原因となります。
そこでワーファリンは、ビタミンKの働きを邪魔することで血栓ができにくくする薬として使われます。
ピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、ワーファリンはビタミンKがたくさん入った健康食品を取ると効果が弱くなります。
そのため、クロレラや青汁などの健康食品も避ける必要があります。
また納豆を特に強調して禁止するのには理由があります。
納豆には納豆菌という菌が含まれており、納豆菌が腸でビタミンKを作り出します。
そのため、納豆自体の含有量+αでビタミンKを摂取してしまうことになるのでかなり注意しなければなりません。
知らず知らずのうちにビタミンKを摂り過ぎている方では、血液検査の結果から
ワーファリンの効きがあまり良くないですね → じゃあ増やしましょう
という流れでどんどん増量になってしまう危険性もあります。
近年ではDOACと呼ばれる、ビタミンKに関係なく血栓をできにくくするような薬も出ています。
プラザキサ、リクシアナ、イグザレルト、エリキュースの4種類があります。
ワーファリンと比べると以下のようになります。
ワーファリン | DOAC | |
---|---|---|
効果時間 | 長い | 短い |
納豆などの摂取 | ✕ | 〇 |
値段(1錠あたり) | 安い (10円くらい) | 高い (100~500円くらい) |
意外にもDOACを服用している患者さんでも、納豆は食べていないという方が多い印象です。
「血液サラサラの薬=納豆はダメ」という意識がすりこまれているのかと思います😅
私はワーファリンからDOACに変更になった患者さんには、納豆を食べても大丈夫な旨必ず説明するようにしています。
またDOACはとてもいい薬なのですが、効果が短いので飲み忘れが多い人では危険ですし、値段も少し高めなのがデメリットですね。
※ワーファリンは長時間体に残るので、少し飲み忘れがあってもDOACよりは安全です。
ただ、飲み忘れを良しとしているわけではないので、しっかり服用していただければと思います😅
骨粗しょう症の薬①
門前の病院には整形外科があり、骨粗しょう症の患者さんが多く通院されています。
①転倒などによって体の痛みがあり受診
②レントゲン検査で骨折が判明
③さらに検査により骨密度が低くなっていることがわかる
④骨折が良くなったら骨粗しょう症の治療が開始
・・・という流れが非常に多いです。
治療薬として、活性型ビタミンD₃製剤という種類の薬+αで処方されることが多い印象です。
そもそもビタミンDというのはカルシウムの吸収を良くして、骨を丈夫にする働きをもっています。
ただ、身体の中で「活性型」という形にならないとこの力を発揮することができません。
活性型になるためには、腎臓や肝臓の力を借りなくてはいけません。
この活性型ビタミンD₃製剤は、腎臓や肝臓が弱っている方でもしっかり身体の中で効果を発揮できるよう作られており、骨粗しょう症以外にも腎臓病の方に処方されることがあります。
とても良い薬なのですが、定期的に血液検査を行い、高カルシウム血症と呼ばれる副作用が出ていないかチェックする必要があります。
当薬局にいらっしゃる患者さんの9割以上は問題なく薬を続けられています。
しかし、ごく一部の患者さんでは、血液検査でこのカルシウムの数値が基準よりも高くなってしまい、該当の薬が中止となることもあります。
もちろんその人の体質も関係すると思いますが、健康食品を摂っていた方が中断になるケースが多いように感じます。
この薬に影響する健康食品として、ビタミンDとカルシウムが挙げられます。
ビタミンDについては、活性型ビタミンD₃製剤がビタミンDを強化したものなので、効果が重複するのはご理解いただけると思います。
カルシウムについても、この薬によって吸収が高まっている状態なので、たくさん摂り過ぎると血液中のカルシウムの濃度が高くなってしまいます。
この薬を飲んでいる患者さんが、一律で絶対にビタミンDとカルシウムを摂ってはダメというわけではありません。
ただ副作用の原因になり得るので、医師にも健康食品の摂取については伝えて、併用しても良いかどうか聞く必要がありますね。
私はこの薬が初めて処方された患者さんには、以前に初回質問票でお答えいただいた場合でも、再度必ず健康食品のチェックをしております。
患者さん側からすると何度も聞かれるのは面倒かと思いますが、副作用防止のためご理解いただきたいと思います。
骨粗しょう症の薬②
上記で骨粗しょう症の薬についてお話いたしました。
近年では骨粗しょう症の治療には、ビスホスホネート製剤と呼ばれる薬もよく使われるようになりました。
学生時代は、ビスホス骨ートと言う風に関連付けて覚えていた記憶があります(駄洒落ですね😅)
起床時(朝起きてすぐ)にコップ1杯程度の水で服用し、30分間(ボンビバ錠という薬は60分間)は食事や水以外の物を摂取しない・横にならないという制限がある薬です。
健康食品とはまた違うのですが、この水について注意が必要です。
普通の水道水で服用いただくのは問題ありません。
ただし、ミネラルウォーターでの服用は避けていただきたいと思います。
そもそもこのビスホスホネート製剤はなぜ「起床時」という微妙な時間帯に飲まなくてはならないのでしょうか?
それはこの薬がとっても体への吸収がされにくいためです。
ちゃんと飲み方を守って飲んだ場合、この薬の約1%が体に吸収されます。
残りの約99%は体の外に捨てられます。
でもこの約1%でちゃんと体に効くように作られた薬なのです。
ただでさえ吸収の悪いビスホスホネート製剤ですが、ミネラルと呼ばれるものとの相性が最悪です。
ミネラルとはカルシウム、マグネシウムなど食べ物や飲み物に含まれる微量の金属です。
このビスホスホネート製剤はミネラルをたくさん含むものと一緒に摂取すると、お互いにくっついてしまい、体の中に吸収ができなくなります。
ミネラルウォーターは、海外産ではミネラル量が多いので特に注意していただきたいです。
国産のものは少しミネラル量が控えめですが、やはりこの薬を服用する際には避けることが無難かと思います。
水分補給としてミネラルウォーターを飲まれるというのは特に問題はありません。
この薬の「服用時」と「服用後30~60分」だけ注意していただければと思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
みなさんの中にも少し当てはまるかも?と思った方もいらっしゃるかもしれません。
その場合は遠慮なくお医者さん、もしくは話しにくいなと思った場合は薬剤師へご相談いただきたいと思います。
健康食品は健康の維持・増進の目的で摂取されるべきものです。
摂取によって健康を害することになるのは本末転倒のため、みなさんもご注意いただければと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。