【薬局向け】「地域支援体制加算」を算定する方法

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こんにちは。りつです。

今回は調剤薬局の方向けの記事になります。

この記事では、

  • 地域支援体制加算とは何か?
  • 算定要件は何か?
  • 要件を満たすためには何をしたら良いか?

について解説しています。

 

目次

地域支援体制加算について

地域支援体制加算とは?

地域包括ケアシステムを支援できる体制があると取れる加算」となります。

地域包括ケアシステムとは、簡単に言うと

患者さんの自宅を施設にしてしまおう!

という考え方です。

在宅医療は患者さん宅を中心に医師・看護師・薬剤師・介護士など様々な医療従事者が介入したチーム医療を展開します。

まさにこれが地域包括ケアと言えるでしょう。

この中で薬局が担うのは「薬学管理」「服薬指導」「服薬支援」になります。

「地域支援体制加算」は「地域包括ケアシステム」における薬局の役割を果たしている場合に算定できる加算になります。

 

施設基準のイメージ

地域支援体制加算を算定するためには、地域包括ケアシステム支援できる体制がある必要があると前述しました。

しかし、本加算には明確な施設基準が示されており、この基準を満たせない場合は算定できません。

ただ、施設基準は暗記するとなると大変なほど多岐にわたります。

そのため、

  • 24時間の調剤・在宅医療に対応できる薬局
  • 多職種連携に対応できる薬局
  • かかりつけ薬局・薬剤師として対応できる薬局

このような大まかなイメージを持つとわかりやすいと思います。

 

区分について

地域支援体制加算はもともと区分が2つだけでしたが、2022年度調剤報酬改定で4つに増えました。

加算1・4が元あった要件のもので、加算2・3が新設されたような形です。

ざっくり言うと、以下のようなイメージとなります。

  • 地域支援体制加算1:本加算でベースとなるもの
  • 地域支援体制加算2:1より条件がやや厳しめ点数高め(新設)
  • 地域支援体制加算3:調剤基本料1以外の場合で4より条件が易しめ点数低め(新設)
  • 地域支援体制加算4:調剤基本料1以外の場合(ものすごく条件が厳しめ

 

算定要件(①実績要件について)

まず実績要件について解説します。

詳しくは以下の武田テバファーマさんの資料を見るとわかりやすいと思います。

医療関係者向け情報サイト「武田テバDI-net」定期情報誌 2022年4月15日30号より

 

細かく書いてあるので、現在の加算の維持、もしくはより点数の高い加算を目指す場合はかなり参考になる資料と思います。

しかしながら、新規で地域支援体制加算を取りたい方には内容が掴みにくいと思いますので順番に解説します。

 

調剤基本料1の薬局・調剤基本料1以外の薬局で二分される

これは面薬局の評価を意味しています。

薬局は評価門前薬局は評価

というようなイメージです。

そのため、地域支援体制加算を算定する上で以下のように捉えることできます。

  • 調剤基本料1門前薬局と判定されていない → 施設基準の要件が少なめ
  • 調剤基本料1以外門前薬局と判定     → 施設基準の要件が多め・厳しめ

※門前薬局の評価が低いのは、地域包括ケアシステムの中で求められている薬局ではないためです。

そのため地域支援体制加算の条件のハードルを高くしていると考えられます。

 

②それぞれの実績要件について

地域支援体制加算1の実績要件は他と比べるとシンプルです。

それぞれの要件の難易度は以下のような感じかと思います。

必須!①麻薬小売業者免許 → 簡単(大概はすでに取得していると思います)

必須!②在宅薬剤管理の実績 → ここが一番ハードル?

必須!③かかりつけ薬剤師指導料等の届出 → 簡単(同指導料の算定ではなく届出があればOK)

   ④服薬情報等提供料の実績 → 少しだけ頑張れば達成は簡単

   ⑤多職種会議への参加 → 地域による?(開催が多い所では参加するだけなので簡単)

※④、⑤はどちらかを満たせればOK

地域支援体制加算の要件を満たすには、上記の実績要件①~③+④or⑤の計4つを満たす必要があります。

中でも②在宅薬剤管理の実績は必須でありつつ、一番ハードルとなる部分かと思います。

逆に言えばこれさえ何とかなれば、他はさほど苦労せずクリアできてしまうと思います。

 

 

これに対して地域支援体制加算2~4では少し複雑になります。

それぞれの要件の難易度は以下のような感じかと思います。

     ①夜間・休日等の対応実績 → 地域・病院の診察時間などによる

     ②麻薬の調剤実績 → 地域・患者層などによる

     ③重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 → 一番簡単?

3は必須!④かかりつけ薬剤師指導料等の実績 → 届出ではなく実績なのでハードル高め

     ⑤外来服薬支援料の実績 → 頻繁に取れる加算ではないのでハードル高め

     ⑥服用薬剤調整支援料1及び2の実績 → 1は難しいが2はやや簡単

3は必須!⑦単一建物診療患者1人の在宅薬剤管理の実績 → 少し難しい?

     ⑧服薬情報等提供料の実績 → 頑張る必要があるが難しくはない

     ⑨多職種会議への参加 → 地域による?(5回/年なので少し難しいかも?)

 

地域支援体制加算の要件を満たすには、同加算1の実績要件+上記の実績要件の内3つ以上を満たさなければなりません。

同加算では実績要件④、⑦は必須+その他1つ以上満たす必要があります。

同加算では実績要件を8つ以上満たす必要があります(あまり現実的ではないですね)。

 

簡単な補足

①夜間・休日等の対応実績は、平日19時以降、土曜午後以降、日曜日・祝日に処方箋を応需した場合に算定できます。

そのため、薬局の開局日・時間が合わない場合は算定できないと考えた方が良いでしょう。

また開局していたとしても来局数が少なければ400回/年に達するのは難しいと思います。

②麻薬の調剤実績「麻薬加算」の回数で判断します。

そのためベース1剤、レスキュー1剤と処方されている場合は麻薬加算を2つ取れるため、1処方で2回分達成できます。

⑤外来服薬支援料1は調剤後の薬に関して服薬支援を行うものです。

処方受付時に算定はできませんし、同支援料2(※旧一包化加算)は別物なので注意しましょう。

※以前は調剤料の中に入っていたもので、現在は管理料に含まれるため旧一包化加算という表現はあまり適切ではないかと思います。今回は理解しやすく解説するためにこのような表現にしています。

⑥服用薬剤調整支援料1及び2の実績はポリファーマシー解消のために行った場合に算定できるものです。

医師への減薬の提案が前提のため、その業務自体の難易度は高いですが1回でも算定実績があると要件を満たせるのは大きいと思います。

また服用薬剤調整支援料1の場合は提案後に実際に減薬された状態が一定期間続いていないといけないのでハードルは高いのですが、同支援料2の場合は提案した場合に算定することができるためハードルは少し低くなります。

 

注意点

地域支援体制加算1と比べると、同じ実績要件でも必要な回数が多くなっているものもあることに注意が必要です。

服薬情報等提供料の実績、多職種会議への参加は5倍に増えていますね。

また落とし穴として、⑨多職種会議への参加を除く①~⑧に関しては年間処方箋受付回数1万回あたりの実績となっている点に注意が必要です。

例えば年間で2万回処方箋を受け付けている薬局では、示されている実績要件の2倍の回数をこなす必要があるということです(①夜間・休日等の対応実績では400×2=800回以上が必要になります)。

 

算定要件(②全てに共通の施設基準)

全てに共通する施設基準は内容が多岐にわたりますので、相当に記憶力の良い方でないと暗記は難しいと思います。

しかし、これらを6つに分類して整理すると理解しやすいです。

分類わけすると以下のようになります。

①薬局自体に関する要件

②健康情報拠点としての要件

③薬局内の薬剤師に関する要件

④副作用報告に関する要件

⑤多職種連携に関する要件

⑥在宅医療に関する要件

 

①薬局自体に関する要件

開局時間

  • 平日8時間以上土日いずれかに一定時間以上開局、かつ週45時間以上開局

構造

  • パーテンション等で区切られた独立したカウンターを有するなど患者のプライバシーに配慮

機能

  • 調剤された医薬品に関する情報を提供できる体制
  • 患者ごとに薬歴の記録を作成、薬学的管理・指導を実施

備蓄医薬品数

  • 1200品目以上

処方箋の集中率

  • 85%以下

※85%超の場合、後発医薬品調剤割合50%以上ならOK

情報通信機能

  • コンピューターの設置
  • PMDAメディナビへ登録し常に最新の情報を入手・薬剤師に周知する

 

②健康情報拠点としての要件

掲示

・健康相談又は健康教室を行っている旨を薬局の内側・外側の見えやすい場所に掲示

健康情報拠点としての対応

・生活習慣全般に係る相談について応需・対応

 

③薬局内の薬剤師に関する要件

管理薬剤師の要件

  • 5年以上の薬局勤務経験、当該保険薬局に週32時間以上勤務・継続して1年以上在籍

調剤従事者等の研修

  • 研修実施計画の作成とそれに基づく研修実施
  • 定期的外部の学術研修への参加
  • 研修認定の取得、学会参加・発表、論文投稿を行わせていることが望ましい

  

④副作用報告に関する要件

副作用報告に関するマニュアル

  • 副作用報告に係る手順書を作成

薬機法に関する要件

  • 薬局機能情報提供制度において「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」の項目を「有」としている
  • 直近1年以内に、実際にプレアボイド事例を都道府県に報告している

 

⑤多職種連携に関する要件

  • ケアマネジャー、社会福祉士等と連携する
  • 地域包括支援センターとも必要な連携を行う

 

⑥在宅医療に関する要件

体制の整備

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導の届出
  • 在宅患者に対する薬学的管理指導が可能な体制の整備

患者への周知

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を、薬局の内側・外側の見えやすい場所に掲示

24時間対応

  • 24時間調剤お酔い在宅業務の体制を整備(3薬局まで連携可

多職種との連携

  • 地方公共団体、保険医療機関及び福祉関係者に対して24時間調剤体制・在宅業務対応体制を周知
  • 在宅訪問の結果は、医療機関・訪問看護ステーションの医師・看護師文書で情報提供する

医療材料・衛生材料の供給

  • 医療材料・衛生材料を供給できる体制の整備

 

長くなりましたが、以上が共通の施設基準となります。

 

 

↓以下の本は地域支援体制加算について詳しく説明されているためおすすめです。(P53~67に書いてあります)

(ペーパーバックは2倍以上高いのでkindle版がおすすめです)

 

要件を満たすために何をしたら良いか

これについては近隣病院や患者層・開局状況・従業員数などによって最善の方法が異なると考えられます。

しかし、すぐにでも達成できる部分(主に届出だけで済む要件)は早めに動いた方が良いと思います。

施設基準に関しても数は多いですが、少しずつ達成できるものであるので「掲示」などのできる部分から始めるのが良いと思います。

その上で戦略として、能動的に実績数を増やしていける部分を攻めていくことが算定への近道ではないかと思います。

麻薬の調剤実績などについては(適切な表現ではないかもしれませんが)多少運が絡む部分があるため、それに頼りきりになると算定要件を満たせなくなってしまう可能性も出てくると思います。

そのため、個人的に一番おすすめしたいのは「服薬情報等提供料の実績」で、次点で「服用薬剤調整支援料1及び2の実績」になります。

これが普通にできるようになることで、いち薬剤師としてもレベルアップしていけると思います。

 

おまけ(当薬局での算定状況)

当薬局では改定後もしばらく地域支援体制加算1を算定していました。

改定直後から加算2の算定を目指そうという流れはありましたが、中々条件が達成できずにいました。

③重複投与・相互作用等防止加算等の実績、⑦在宅薬剤管理の実績の2つについては余裕をもって達成できましたが、他があと一歩足りないような状態でした。

すると、ある日上司から突然、

上司

みんな~、服薬情報等提供料2を月10回取ってね~

と告げられました。

上司は⑧服薬情報等提供料の実績に目をつけたようです。

これは年間処方受付1万回につき60回の算定実績(もしくはそれに相当する業務を行った場合を含む)が必要です。

当薬局では年間処方受付は約2万回のため、年間120回(単純計算で10回/月)の服薬情報等提供料の算定をしなくてはなりません。

私は以前1~2ヶ月に1回程度の算定はしていたのですが、月5回ともなると相当ハードルが高いと思っていました。

しかし、実際に意識してやってみたところ、現在では毎日1回程度、医師への服薬情報提供(トレーシングレポート提出)ができています。

月換算だと約20回の頻度で服薬情報等提供料2が算定できていることになります。

そうこうしている内に⑧服薬情報等提供料の実績が達成できていました。

目標を掲げることは大切なんだなと改めて思いました。

 

服薬情報等提供料について知りたい方は以下の記事をご参考下さい。

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まとめ

地域支援体制加算についてのまとめです。

  • 「地域包括ケアシステム」における薬局の役割を果たす必要がある
  • 4区分ある
  • 実績要件・施設基準をそれぞれ満たす必要がある
  • 調剤基本料1の薬局かどうかで算定難易度が大幅に変わる
  • 在宅医療ができていないと基準を満たせない
  • 要件はすぐに達成できそうなことから取り組む
  • 実績要件は「服薬情報等提供料の実績」「服用薬剤調整支援料1及び2の実績」がおすすめ

 

おわりに

いかがでしたか?

地域支援体制加算はハードルは少し高めですが、リターンは大きいです。

頑張れば算定できそうな薬局さんであればぜひ挑戦していただきたいと思います。

算定を目指している方の一助となれば幸いです。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。

それでは。

参考文献

1)医療関係者向け情報サイト「武田テバDI-net」定期情報誌 2022年4月15日30号

2)厚生労働省 令和4年度調剤報酬改定の概要 (調剤)(P27~28)

3)面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.2 調剤基本料編(令和4年度改定版)(P53~67)

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