はじめに
令和8年度調剤報酬改定が、6月1日から施行されました。
今回の改定は変更点が多く、薬局現場でも確認作業に追われた方は多いのではないでしょうか。
私の薬局でも、施行直後はレセコン入力や算定要件の確認に時間がかかり、いつもの処方箋でも少し重く感じる場面がありました。
その中でも、現場で少し混乱しやすかったのが、重複投薬・相互作用等防止加算の廃止に伴って新設された「調剤時残薬調整加算」と「薬学的有害事象等防止加算」です。
薬学的有害事象等防止加算については、これまでの重複投薬・相互作用等防止加算に近い感覚で理解しやすい部分もあります。
一方で、調剤時残薬調整加算については、7日分以上相当の処方日数変更が基本となることや、6日分以下相当の変更では理由をレセプト摘要欄に記載する必要があることなど、実務上の確認項目が増えた印象があります。
制度の詳しい解説は、すでにメーカー資料や大手サイトでも多くまとめられています。
この記事では、制度そのものを細かく解説するというより、実際の薬局現場で調剤時残薬調整加算を算定するときに、どのように確認し、どのように記録し、どのようにレセプトにつなげているかを、現場目線で整理していきます。
「残薬調整はしたけれど、後で何を書けばいいか迷った」
「6日分以下の理由記載を忘れそうで不安」
「薬剤師が摘要欄に必要な情報を整理しやすい形にしたい」
そんな方の参考になればうれしいです。
なお、この記事はあくまで当薬局での運用例をもとにした実務メモです。
調剤報酬の算定要件は全国共通のルールとして示されていますが、実際のレセプト記載や摘要欄の書き方、地域ごとの運用確認については、地方厚生局、審査支払機関、地域薬剤師会、レセコン会社などの最新情報もあわせて確認してください。
まず結論|調剤時残薬調整加算は「記録の残し方」が大事
調剤時残薬調整加算は、算定要件を理解することも大切ですが、現場ではそれ以上に「必要な情報を後で確認できる形で残すこと」が重要だと感じています。
残薬調整は、患者さんからの聞き取り、残薬状況の確認、必要に応じた処方医への疑義照会、処方日数の変更、薬歴記載、レセプト摘要欄への反映など、複数の作業がつながっています。
そのため、情報をその場の記憶や薬歴だけに頼っていると、月末やレセプト確認時に、
- 何日分残っていたのか
- 実際に何日分調整したのか
- どの薬を調整したのか
- 疑義照会で変更したのか、処方箋上の指示に従ったのか
- 6日分以下の場合、理由をどう書くのか
といった情報を探すのに時間がかかることがあります。
特に6日分以下相当の調整では、理由記載が必要になるため、調整した時点で必要な情報を残しておくことが大切です。
そこで当薬局では、調剤時残薬調整加算を算定する可能性がある場合に、必要な情報を整理するための「残薬調整メモ」を使うようにしました。
このメモは、薬歴の代わりにするものではありません。
薬剤師が確認した内容を整理し、薬歴・調剤録・レセプト摘要欄の内容に矛盾がないようにするための補助資料です。
令和8年度改定で残薬調整の評価が変わった
令和8年度調剤報酬改定では、重複投薬・相互作用等防止加算が廃止され、残薬調整に関する評価として「調剤時残薬調整加算」が新設されました。
また、残薬調整以外の重複投薬や相互作用、その他の薬学的な問題によって処方変更につながった場合の評価として、「薬学的有害事象等防止加算」も新設されています。
個人的には、薬学的有害事象等防止加算は、これまでの重複投薬・相互作用等防止加算に近い感覚で理解しやすい部分があります。
一方で、調剤時残薬調整加算は、残薬の確認、調整日数、6日分以下相当の理由記載、摘要欄への反映など、現場で記録しておきたい項目が増えた印象があります。
制度としては「残薬調整が評価された」と言えますが、現場では「残薬を確認したら終わり」ではありません。
残薬がなぜ生じたのか。
今回どの薬を、何日分調整したのか。
次回受診日まで服薬に支障がないのか。
処方医への確認や患者さんへの説明はどうしたのか。
こうした情報を、後から確認できる形で残しておくことが大切になります。
調剤時残薬調整加算で現場が迷いやすいところ
調剤時残薬調整加算で現場が迷いやすいのは、単に「算定できるかどうか」だけではないと思います。
むしろ実務では、算定要件を確認したうえで、
- どのタイミングで残薬を確認するか
- どの情報を薬歴に残すか
- どの情報をレセプト摘要欄へつなげるか
- 6日分以下相当の場合に、理由をどう整理するか
- 複数薬剤がある場合、薬剤ごとの調整内容をどう残すか
といった部分で迷いやすいです。
特に、多種類の薬が処方されている患者さんでは、薬剤ごとに残薬状況が違うことも珍しくありません。
「朝の薬は残っていないけれど、昼の薬だけ残っている」
「外用薬だけ余っている」
「週1回製剤だけ残薬の考え方が違う」
「高額な薬剤が数日分残っている」
このようなケースでは、単に「残薬あり」とだけ記録しても、後から見返したときに内容が分かりにくくなります。
残薬調整では「患者さん単位」だけでなく、「薬剤ごと」に情報を整理しておくことが大切です。
残薬があるだけで機械的に減らさない
残薬調整で気をつけたいのは、「残薬がある=すぐ処方日数を減らす」ではないことです。
残薬がある場合でも、まずはなぜ残薬が生じているのかを確認する必要があります。
たとえば、
- 飲み忘れが多いのか
- 自己判断で中止しているのか
- 医師から指示変更があったのか
- 頓服や外用薬で使用頻度にばらつきがあるのか
- 次回受診日までの分を意図的に残しているのか
- 一包化や用法の理解に問題があるのか
など、背景によって対応は変わります。
残薬が7日分以上ある場合でも、機械的に処方日数を減らすのではなく、患者さんの服薬状況や次回受診日、今後の服用予定を確認したうえで判断することが大切です。
残薬調整は、患者さんの飲み残しを責めるためのものではありません。
今の服薬状況に合わせて薬を整え、不要な重複交付を避けつつ、必要な薬が不足しないようにするための確認です。
当薬局では残薬調整メモを使っています
当薬局では、調剤時残薬調整加算を算定する可能性がある場合、「残薬調整メモ」を使って確認内容を整理しています。
このメモは、Excel上で細かく管理するための台帳ではありません。
基本的には、印刷して手書きで使うことを想定した、レセプト摘要欄へ必要な情報を反映するための下書きメモです。
処方箋受付後、患者情報や服薬状況を確認し、残薬がある場合には、残薬日数や残薬理由を確認します。
必要に応じて疑義照会を行い、処方日数が変更された場合には、薬歴へ記載するとともに、後から摘要欄に必要事項を反映できるよう、メモにも整理して残します。
このメモを作った理由は、レセプト確認時に必要な情報を探しやすくするためです。
薬歴にはもちろん記録しますが、レセプト確認時に毎回薬歴を読み返して、
「どの薬を何日分調整したんだっけ?」
「6日分以下の理由は何だったっけ?」
「疑義照会だったのか、処方箋上の指示だったのか?」
と探すのは、思った以上に手間がかかります。
そこで、残薬調整が発生した時点で、摘要欄に必要になりそうな情報を1枚のメモにまとめておくようにしました。
残薬調整メモに記録している項目
当薬局の残薬調整メモでは、1人の患者さんにつき1枚使用し、複数の薬剤について薬剤ごとに記録できるようにしています。
実際の薬局では、10種類以上の薬が処方されている患者さんも珍しくありません。
そのため、1〜2種類だけ記録できるシートではなく、複数薬剤を並べて確認できる形にしています。
処方日・患者識別
まず、処方日と患者さんを識別できる情報を記録します。
公開用のテンプレートでは「患者識別」としていますが、実際の薬局では、自薬局のルールに合わせて患者氏名、患者番号、イニシャルなど、後から確認しやすい形に調整するとよいと思います。
ただし、個人情報の取り扱いには注意が必要です。
印刷して使う場合でも、外部へ持ち出さないこと、不要になった場合は適切に廃棄することなど、自薬局の個人情報管理ルールに合わせて運用する必要があります。
対象医薬品名・規格
次に、残薬調整の対象となった医薬品名を記録します。
複数薬剤が処方されている場合、「残薬あり」とだけ記録してしまうと、後からどの薬を調整したのか分かりにくくなります。
同じ患者さんでも、薬によって残薬日数が違うことはよくあります。
そのため、対象医薬品名はできるだけ薬剤ごとに分けて記録するようにしています。必要に応じて、規格や剤形も分かるようにしておくと、後から確認しやすくなります。
確認した残薬日数
「確認した残薬日数」は、患者さんや家族から聞き取った残薬日数、または実際に持参された薬を確認した日数を記録します。
ここで大切なのは、実際に調整した日数とは分けて考えることです。
残薬が10日分あったとしても、次回受診日や服薬状況を考えると、必ず10日分すべてを調整するとは限りません。
逆に、患者さんの申告だけでは判断しにくい場合には、残薬の現物確認や服薬状況の聞き取りが必要になることもあります。
そのため、まずは「確認した残薬が何日分だったのか」を残しておくようにしています。
実際に調整した日数
「実際に調整した日数」は、処方日数を何日分変更したかを記録する欄です。
調剤時残薬調整加算では、7日分以上相当の調剤日数変更が基本になります。
一方で、6日分以下相当の変更では、残薬が7日分を超えないにもかかわらず調整する必要性をレセプト摘要欄に記載する必要があります。
そのため、確認した残薬日数だけでなく、実際に何日分調整したのかをはっきり残しておくことが大切です。
変更方法
変更方法は、主に以下のように分けて記録しています。
- 疑義照会による変更
- 処方箋上の指示に基づく減量
- 簡素化プロトコルに基づく対応
ここを分けておくと、後から処方箋、薬歴、レセプト摘要欄を確認するときに流れが追いやすくなります。
特に、疑義照会で変更したのか、処方箋上の指示に従って減量したのかは、薬局内でも認識がずれやすい部分だと感じます。
6日分以下の場合の理由・摘要欄メモ
6日分以下相当の調整では、理由を残しておくことが特に重要です。
この欄には、単に「残薬あり」と書くのではなく、なぜ7日分未満でも調整が必要だったのかが分かるように記録します。
たとえば、高額な医薬品で少ない日数でも患者負担や医療費への影響が大きい場合には、その背景も含めて記録します。
ただし、「高額薬だから」だけで終わらせないことが大切です。
- 残薬を何日分確認したか
- 次回受診日までの服薬に支障がないか
- 患者さんに説明したか
- 処方医に確認したか
- どの薬を何日分調整したか
といった情報を合わせて残すようにしています。
後からレセプト摘要欄へ記載するときに、ここが空欄だとかなり困ります。
6日分以下相当の調整では、調整したその場で理由をメモしておく方が安全です。
6日分以下の理由記載で意識していること
6日分以下相当の残薬調整で特に意識しているのは、「通常の残薬確認」と「6日分以下でも調整が必要だった理由」を分けて考えることです。
患者本人または家族から残薬を確認すること。
対象薬剤が何日分残っているか確認すること。
次回受診日までの服薬分が確保できているか確認すること。
必要に応じて処方医へ確認すること。
患者さんへ調整内容を説明すること。
これらは、6日分以下の場合だけに必要な確認ではありません。
7日分以上の調整であっても、6日分以下の調整であっても、残薬調整を行ううえで基本になる確認だと考えています。
そのうえで、6日分以下相当の調整では、レセプト摘要欄に「残薬が7日分を超えないにもかかわらず調整する必要性」を記載する必要があります。
つまり、6日分以下だから特別な確認をするというより、通常の残薬調整で確認した内容をもとに、なぜ7日分未満でも調整が必要だったのかを説明できるようにしておく、というイメージです。
6日分以下でも調整が必要になりやすい例
6日分以下でも調整が必要になるケースとしては、たとえば次のようなものが考えられます。
①高額医薬品で、少ない日数でも患者負担や医療費への影響が大きい場合
薬価が高い薬剤では、数日分であっても患者さんの自己負担や医療費への影響が大きくなることがあります。
この場合でも、単に「高額だから減らした」だけで終わらせるのではなく、残薬日数、次回受診日までの服薬状況、処方医への確認、患者さんへの説明などを合わせて整理しておく方が安全です。
②実際の残薬を含めると、治療予定との整合性が取りにくくなる場合
治療終了予定日や予定投与量との関係で日数調整が必要になる場合もあります。
実際に患者さんの手元に残薬があり、その残薬を含めると治療終了予定日や予定投与量との整合性が取りにくくなる場合には、残薬調整の文脈で日数調整が必要になることがあります。
たとえば、治療期間がある程度決まっている薬剤で、患者さんの手元に数日分の残薬が確認できており、そのまま通常日数で交付すると、予定された治療期間を超えて余分に薬が残るようなケースです。
このような場合には、残薬日数、予定されている治療期間、次回受診日、処方医への確認内容などを整理したうえで、残薬調整として日数変更が必要だった理由を残しておくことが大切です。
ポイントは、「日数を減らした理由が、残薬調整なのか、投与期間・処方内容の適正化なのかを分けて考えること」です。
※ちょっとした注意点
ただし、ここは少し注意が必要です。
単に「添付文書上の投与期間を超えそうだから」「保険適応上の日数を超えそうだから」という理由で疑義照会を行い、処方日数が変更された場合は、残薬調整というより、処方内容の適正化に近い対応だと考えています。
そのため、残薬が関係していない処方日数の変更まで、調剤時残薬調整加算の理由として扱うのは慎重に考えた方がよいと思います。
例:タケキャブ錠20mgの胃潰瘍に対する8週を超える処方による日数変更
③投与間隔が長い薬剤の場合
週1回製剤や、投与間隔が長い薬剤では、単純に「日数」だけで考えると残薬調整の必要性が見えにくいことがあります。
実際の服用日、次回服用予定日、次回受診日との関係を確認したうえで、薬学的に日数調整が必要と判断される場合があります。
④その他、薬学的専門的観点から調整が必要な場合
上記以外にも、患者さんの服薬状況や薬剤の特性、治療方針の変更見込みなどから、6日分以下でも調整が必要と判断される場合があります。
たとえば、次回診察時の検査結果によって処方内容の中止や変更が見込まれる場合などは、不要な交付を避けるために日数調整を検討することがあります。
この場合も、単に「残薬あり」とするのではなく、なぜ今回調整が必要だったのかを簡潔に残しておくことが大切です。
6日分以下の理由欄に残したい考え方
6日分以下の理由欄では、次のような流れが分かるように意識しています。
- どの薬剤に残薬があったのか
- 残薬が何日分確認できたのか
- なぜ7日分未満でも調整が必要だったのか
- 処方医の指示または疑義照会の結果に基づく変更なのか
- 患者さんへ調整内容を説明したか
特に大切なのは、「残薬があったため」だけで終わらせないことです。
7日分以上でも6日分以下でも残薬確認は必要ですが、6日分以下の場合は、さらに一歩進んで、7日分未満でも調整する必要性が伝わる理由を整理しておく必要があります。
当薬局では、この部分を後から思い出して書くのではなく、残薬調整を行った時点でメモに残すようにしています。
残薬調整メモのテンプレートを用意しました
今回の記事で紹介した内容をもとに、調剤時残薬調整加算の記録に使える「残薬調整メモ」のテンプレートを作成しました。
1人の患者さんにつき1枚使用する想定で、最大10種類の薬剤について、確認した残薬日数、実際に調整した日数、変更方法、6日分以下の場合の理由などを記録できるようにしています。
Excel形式で作成していますが、基本的には印刷して手書きで使うことを想定しています。
自薬局の運用に合わせて、項目名や記載欄は自由に調整してください。
このテンプレートは、レセプト摘要欄に必要な情報を後から拾いやすくするための下書きメモです。
※このテンプレートは、当薬局での運用をもとにした公開用サンプルです。実際に使用する際は、最新の通知・疑義解釈、地方厚生局・審査支払機関・地域薬剤師会・レセコン会社の案内、自薬局の運用ルールに合わせて調整してください。
以下がプレビュー画像です。

DLはこちらからどうぞ。
Q&A|調剤時残薬調整加算で確認しておきたいこと
Q. 6日分以下の残薬調整でも算定できますか?
6日分以下相当の調剤日数変更でも、必要性をレセプト摘要欄に記載することで算定できる場合があります。
ただし、7日分以上の調整と比べて、「残薬が7日分を超えないにもかかわらず、なぜ今回調整する必要があったのか」をより明確に整理しておく必要があります。
そのため、当薬局では6日分以下相当の調整があった場合、残薬日数や調整日数だけでなく、調整が必要だった理由もメモに残すようにしています。
Q. 6日分以下の場合だけ、特別な確認が必要なのですか?
基本的な確認は、7日分以上でも6日分以下でも同じだと考えています。
患者本人または家族から残薬を確認すること、対象薬剤が何日分残っているか確認すること、次回受診日までの服薬に支障がないか確認すること、必要に応じて処方医へ確認すること、患者さんへ調整内容を説明すること。
これらは、残薬調整を行ううえで共通して大切な確認です。
そのうえで、6日分以下相当の場合は、確認した内容をもとに「なぜ7日分未満でも調整が必要だったのか」を摘要欄へつなげる形で整理する必要があります。
Q. 6日分以下の理由には、どんな内容が考えられますか?
6日分以下でも調整が必要になる理由としては、たとえば次のようなケースが考えられます。
- 高額医薬品で、少ない日数でも患者負担や医療費への影響が大きい場合
- 実際の残薬を含めると、治療予定との整合性が取りにくくなる場合
- 次回診察時の検査結果などで、処方内容の中止や変更が見込まれる場合
- 週1回製剤など、投与間隔が長い薬剤の場合
- その他、薬学的専門的観点から日数調整が必要と考えられる場合
大切なのは、単に「残薬あり」とするのではなく、その患者さんの服薬状況や薬剤特性を踏まえて、今回調整する必要があった理由を残すことです。
Q. 高額薬であれば、それだけで理由になりますか?
高額薬であることは、6日分以下でも調整する意義を説明する要素のひとつにはなると思います。
薬価が高い薬剤では、数日分であっても患者さんの自己負担や医療費への影響が大きくなる場合があります。
ただし、「高額薬だから減らした」だけで終わらせるのは避けた方がよいと感じています。
高額薬であることに加えて、残薬が何日分確認できたのか、次回受診日までの服薬に支障がないか、処方医への確認または指示に基づく変更なのか、患者さんへ調整内容を説明したか、という流れも合わせて整理しておくと安心です。
Q. 治療終了予定日との日数調整は、どのように考えればよいですか?
治療終了予定日との日数調整については、少し慎重に考えた方がよいと思います。
たとえば、添付文書上の投与期間や保険適応上の投与日数を超えそうな処方について、薬剤師が疑義照会を行い、処方日数が変更されることがあります。
この対応自体は重要ですが、主な理由が「投与期間を超えないようにするため」であれば、残薬調整というより、処方内容の適正化や疑義照会による処方変更に近い対応だと考えています。
そのため、実際の残薬が関係していない日数変更まで、調剤時残薬調整加算の理由として扱うのは慎重に判断した方がよいと思います。
一方で、患者さんの手元に実際の残薬があり、その残薬を含めると治療終了予定日や予定投与量との整合性が取りにくくなる場合には、残薬調整の文脈で日数調整が必要になることも考えられます。
この場合は、
- 実際に何日分の残薬が確認できたのか
- その残薬を含めると、治療予定とどのようにズレるのか
- 今回、何日分を調整したのか
- 処方医への確認または指示に基づく変更なのか
- 患者さんへ調整内容を説明したか
を整理しておくと、後から見返したときに分かりやすくなります。
ポイントは、「日数を減らした理由が、残薬調整なのか、それとも投与期間・処方内容の適正化なのかを分けて考えること」です。
調剤時残薬調整加算として考える場合は、あくまで実際の残薬があり、その残薬を踏まえて今回の交付日数を調整した、という流れが分かるようにしておく必要があると思います。
Q. 投与間隔が長い薬剤では、何に注意すればよいですか?
週1回製剤など、投与間隔が長い薬剤では、単純に「何日分残っているか」だけでは判断しにくいことがあります。
実際の服用日、次回服用予定日、次回受診日、今回交付する日数との関係を確認しないと、過不足が分かりにくい場合があります。
このような薬剤では、薬学的な観点から日数調整が必要になることもあるため、薬剤ごとの残薬状況をメモに残しておくと、後から確認しやすくなります。
Q. 7日分以上の残薬があれば、必ず調整してよいですか?
残薬が7日分以上ある場合でも、機械的に処方日数を減らせばよいわけではありません。
まずは、なぜ残薬が生じているのか、今後の服薬に支障がないか、次回受診日まで足りるのかを確認する必要があります。
残薬調整は、患者さんの飲み残しを責めるためではなく、現在の服薬状況に合わせて薬を整えるための確認だと考えています。
Q. 変更方法はどこまで分けて記録した方がよいですか?
当薬局では、少なくとも「疑義照会による変更」なのか、「処方箋上の指示に基づく変更」なのかは分けて記録するようにしています。
簡素化プロトコルに基づく対応をしている薬局では、その区別も残しておくと、後から処方箋・薬歴・レセプト摘要欄を確認するときに流れを追いやすくなります。
特に残薬調整では、薬剤師が何を確認し、どの根拠で日数変更につながったのかを後から説明できる形にしておくことが大切だと思います。
Q. 簡素化プロトコルに基づく対応なら、それを理由にしてよいですか?
簡素化プロトコルに基づいて対応した場合でも、6日分以下相当の調整では、「プロトコルに基づく対応だから」というだけでは理由として不十分だと考えています。
実際に事務連絡にも明記されており、以下は一部引用したものです。

厚生労働省:事務連絡 令和8年4月1日疑義解釈資料の送付について(その2)
大切なのは、プロトコルの有無ではなく、その患者さんについて、残薬が7日分を超えないにもかかわらず調整する必要性があったかどうかです。
そのため、簡素化プロトコルに基づく対応であっても、残薬状況、薬剤特性、次回受診日、処方医への報告や確認の流れなどを整理しておく方がよいと思います。
Q. テンプレートはそのまま使って大丈夫ですか?
今回のテンプレートは、当薬局での運用をもとにした公開用サンプルです。
そのまま使える部分もあると思いますが、実際には自薬局の運用、レセコン仕様、地域の案内、審査支払機関や地域薬剤師会の情報に合わせて調整することをおすすめします。
特に、レセプト摘要欄の書き方や確認フローは、薬局ごとに運用が違う場合があります。
あくまで「記載漏れを防ぐための下書きメモ」として、自薬局で使いやすい形に直してもらえればと思います。
まとめ|調剤時残薬調整加算は、薬局内の記録ルール作りが大切

調剤時残薬調整加算は、残薬を確認して処方日数を調整したことを評価する加算ですが、実際の現場では「何を記録し、どのタイミングでレセプト摘要欄へつなげるか」を決めておくことが大切です。
特に6日分以下相当の調整では、理由記載が必要になるため、後から思い出して書くのではなく、調整した時点で必要な情報を残しておく方が安全です。
当薬局では、確認した残薬日数、実際に調整した日数、対象薬剤、変更方法、6日分以下の理由などをメモにまとめ、後でレセプト摘要欄へ反映しやすいようにしています。
もちろん、今回紹介した方法はあくまで一例です。
実際の記載方法や運用は、地域や薬局ごとに確認が必要な場合があります。
自薬局のルールや地域の案内に合わせて、無理なく続けられる形に調整してもらえればと思います。
改定直後は戸惑うことも多いですが、記録する項目を整理しておくと、少しずつ流れは見えてきます。
残薬調整は、患者さんの飲み残しを責めるためのものではなく、今の服薬状況に合わせて薬を整えるための大事な確認です。
薬局内でも無理なく続けられる形に整えながら、患者さんにとっても、薬局にとっても、分かりやすい運用にしていきたいですね。

