今回は住野よるさんの「また、同じ夢を見ていた」の書評です。
住野よるさんの2作目の小説となりますが、前作「君の膵臓をたべたい」の登場人物などは登場せず、今作から読んでも全く問題ありません。
本作は2016年オリコン週間本ランキングの総合部門であるBOOK部門で9位にランクインし、累計発行部数は80万部を突破しています。


本書の概要
- 作品名 :また、同じ夢を見ていた
- 著者 :住野よる
- 出版社 :双葉社
- 出版日 :2016年2月21日
- 頁数 :247ページ
- ジャンル:フィクション
あらすじ
250万部を超える大ベストセラー青春小説「君の膵臓をたべたい」。
その著者、住野よるの第二作目が、待望の文庫化。
友達のいない少女、リストカットを繰り返す女子高生、アバズレと罵られる女性、一人静かに余生をおくる老女。
彼女たちの“幸せ”は、どこにあるのか。
「やり直したい」ことがある、“今”がうまくいかない全ての人たちに贈る物語。
双葉社より引用
感想
本作は、少女・奈ノ花と周囲の人々の交流を通じて、人間関係や「幸せ」とは何かを問いかける物語です。
奈ノ花の無邪気な視点を通じて、大人たちの抱える問題や過去が徐々に明かされ、彼らの「幸せ」について考えさせられました。
物語の進行とともに、過去の出来事が現在に影響を与えていることが明らかになります。
ネタバレは避けますが、この緻密な構成が、ラストの感動をより一層深めていると感じました。
また、奈ノ花は「人生は~みたいなものね」という口癖があります。
例えば、
人生とは、プリンみたいなものね。甘いところだけで美味しいのに、苦いところをありがたがる人もいる。
こんな発言をしている描写が度々あります。
小学生らしい可愛らしい例えでありながらも、言葉選びの上手さ、本質を見抜くような発言にハッとさせられました。
物語自体も面白いのですが、この口癖シーンが読んでいて特に楽しいと感じる場面でした。
総合評価
247ページとちょうどいいボリュームです。
前作同様、住野よるさん独特の優しい文章が特徴的です。
複雑なテーマを扱いながらも、簡潔でわかりやすい表現で展開されるため、どの年代の読者にも共感しやすい内容となっています。
本作もタイトル回収が見事でとても感動的なお話になっています。
おすすめする読者層
- 中高生や若い読者
- 子育て中の親世代
- 人間関係や人生に悩んでいる人
- 読書初心者やライトな作品を好む人
- 心温まる物語が好きな人
まとめ
住野よるさんの「また、同じ夢を見ていた」の書評でした。
本作は人生のさまざまな局面を描きつつ、読者に深い感動を与える作品です。
私は数ある本の中でも、この作品が特に好きで何度も読み返しています。
つらくて心が折れそうで何もかも嫌になった時は、本書を読んで癒されていました。
表紙もキレイで可愛いので、普段はウォールシェルフに飾っています。
ぜひみなさんもご一読いただけると幸いです。


今回の記事も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。
それでは。