みなさんこんにちは。りつです。
今回は昨今、若者の間で特に問題となっている市販薬(一般用医薬品)の乱用についての内容になります。
この記事では、
- 市販薬の乱用の危険性
- 覚醒剤などの違法薬物とはどんな違いがあるのか
- どんな対策が必要か
- どこに相談すればよいか
以上のことについて知ることができます。
市販薬乱用の危険性について
市販薬で特に問題となっているもの
市販薬(一般用医薬品)は第1、2、3類、指定第2類、要指導医薬品の5つに分かれています。
特に第2類の市販薬に乱用の問題となる成分が含まれているものが多いです。
昨今では、トー横などを始め、10~20代という若い世代の市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が問題となっています。
また市販薬は違法薬物よりも入手が簡単です。
しかし乱用した場合においては他の違法薬物と同様に、依存症に一生苦しむことになります。
この薬物依存症は一生治りません。
誇張ではなく、本当に一生治りません。
薬物依存から更生した人達は、同じ薬物依存症に苦しむ人達の社会復帰などを支援する団体で活動されている方も多いです。
この方々はとても強い意志で乱用をストップしていますが、依存症が治ったわけではありません。
一瞬の快楽を得るために、一生苦しむのは割に合わないことだと思います。
覚醒剤などの違法薬物との違い
薬の種類 | 法律 | 購入・服用した場合 | 他者へ販売した場合 |
---|---|---|---|
覚醒剤 | 覚醒剤取締法 | 違法 | 違法 |
麻薬 | 麻薬及び向精神薬取締法 | 違法 | 違法 |
市販薬(一般用医薬品) | 医薬品医療機器等法 | 違法ではない | 違法※ |
違法薬物を乱用した場合、上記のような法律で裁かれます。
しかし、市販薬については乱用した場合に適応される法律はありません。
そのため、「犯罪じゃないからいいよね」というような軽い気持ちで乱用できてしまうのが怖い所です。
※ただし薬剤師・登録販売者などでない人が、市販薬を他者へ販売した場合、医薬品医療機器等法(薬機法)の違反になります。
もちろん、市販薬を盗んだりした場合については刑法(窃盗罪に当たると思われます)で裁かれます。
特に乱用リスクが高い成分
厚生労働省より、乱用等のおそれのある医薬品として6つの成分が指定されています。
乱用等のおそれのある医薬品 | 含有される市販薬の例 |
---|---|
エフェドリン | ー |
コデイン | ー |
ジヒドロコデイン | エスエスブロン錠 パブロンゴールドA |
ブロムワレリル尿素 | ウット ナロンエースT |
プソイドエフェドリン | ベンザブロックLプレミアム 新コンタックかぜ総合 |
メチルエフェドリン | エスエスブロン錠 パブロンゴールドA |
エフェドリンとコデインについては、特定の作用を強めたり、副作用を抑える目的で、少し形を変えた薬が使われるのが一般的となっています。
それがプソイドエフェドリン・メチルエフェドリン・ジヒドロコデインですね。
指定されている成分の中では、ジヒドロコデインが含有される市販薬の乱用率が高めです。
その中でも、エスエスブロン錠の乱用率が突出して多いという報告があります。
もちろん製薬会社は乱用されるために作っているわけではありません。
エスエスブロン錠自体は、「かなり咳がひどいけどすぐに病院にかかれない」というような人にとってはありがたい薬であると思います。
依存症の原因は何か?
幼少期のトラウマなど
原因は人それぞれではあるのですが、幼少期に問題があった場合に陥ることが多いようです。
親からの虐待・性暴力を受けていたり、父親が母親へ暴力をふるっている所を見て育ったり・・・家の中が安心できる環境ではなかったというケースが多いと言われています。
正直こういった問題は、子供が自分1人でなんとかすることなんて不可能に近いと思います。
そのまま長期間ストレスにさらされ続けると、心はボロボロになっていきます。
そして、一時的ではあったとしても「気分が楽になれるのなら」と薬に手を伸ばしてしまうのだと考えられます。
依存に陥りやすい人の特徴
- 自信が持てない
- 誰も信じられない
- 誰にも本音が言えない
- 見捨てられることへの不安が強い
- いつも孤独で寂しい
- リストカットなどの自傷行為をしたりなど自分を大切にできない
こういったことを心に抱えているひとが依存症に陥りやすいとされています。
一例ではありますが、このような心の闇を抱える人は少なくないと思います。
でもこういう人は、根が優しかったり、真面目だったり、情緒が豊かだったりと人間的に魅力的な人も多いのではないか思います。
SNSによる影響
SNSは手軽に色々な情報が入手できる便利な手段です。
その半面、偏った情報によって悪影響を受ける危険性もあります。
影響力のある人・フォロワーが発信することで、オーバードーズは「楽しいこと」「普通なこと」「みんなやっていること」など、自分にとって都合よく解釈してしまう可能性もあります。
同じような人たちが集まり、グループになっていくことによって集団心理が働いてしまうこともあり得ます。
この問題を解決するために
どんな対策が必要か?
市販薬に対し、特に乱用のおそれのあるものについては、以下のような対応が義務付けられています。
厚生労働省 令和5年3月8日 第2回医薬日の販売制度に関する検討会資料2より
以前から比較的簡単に買えてしまう環境だったので、物理的な対策についてはもちろん必要だと思います。
しかし、手間と時間はかかりますが、複数のお店で1点ずつ買っていくなどして掻い潜ることもできてしまいます。
根本的な解決としては、若者の心のケアができるような環境作りが必要と思います。
時間と労力と工夫はかなりかかると思いますが、それでも絶対に必要なことです。
「埼玉県立精神医療センター」では患者さんの立場に立った治療・支援を行われています。
その施設では外来に来てくれた患者さんが困っていることに焦点を当てて、困っていることを応援するようなスタンスで治療に臨んでいるとのことです。
治療がある程度進んでいくと、同じような患者さんが集まってグループワークをするようなプログラムも取り入れられているようです。
これによって人とのつながりができ、薬物を遠ざけられることが期待できます。
お住まいの地域で薬物依存症のケアに積極的に取り組まれている病院などがあれば、勇気を持って受診していただければと思います。
相談窓口
こちらは北海道~沖縄までの相談窓口の連絡先が一覧となっています。
薬物依存症になってしまったけどどこに相談したらいいかわからないという方はこちらへご連絡いただければと思います。
こちらはLINE・Webどちらからも相談できるようなサイトです。
誰にも相談できない、死んでしまいたいなど心が辛い方はぜひこちらでご相談いただければと思います。
おわりに
いかがでしたか?
薬物依存は他人事ではない話だと思います。
現在、自分やその家族が薬物依存症になっていなくても、将来の子・孫などがそうならないような家庭環境にしていくことが大切だと思います。
もしも辛い時は、頼れる人が近くにいると良いですね。
誰も頼れる人がいないという場合は、「生きづらびっと」など有効活用していただければ幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。
それでは。
参考文献
1)ファーマスタイルNovember2023/No.38
2)OTC医薬品の比較と使い分け
3)厚生労働省 覚醒剤取締法(◆昭和26年06月30日法律第252号)