みなさんこんにちは!りつです!
令和6年度はトリプル改定の年ですが、特に薬剤師には調剤報酬についてはしっかり押さえておきたいところです。
しかし調剤報酬に関する内容はわかりにくい文章で書かれているおり、理解するのに苦労する方も多いかと思います。
今回の記事ではわかりやすい表現で、くわしい部分まで解説されている【面白いほどよくわかる!調剤報酬シリーズ】についてご紹介します。
以下のよう方へ特におすすめです。
- 調剤報酬の基本から応用的な部分まで網羅的に理解したい
- 令和6年度改定で何が変わったかが知りたい
- 売上を伸ばすため、新たに加算を算定するための施設基準・実績などを知りたい
はじめに
調剤報酬改定について
調剤報酬改定は2年に1回あります。
そのため令和では偶数年に改定されることになります。
近年の改定では、新たに加算が追加されるだけではなく、今まで普通に使っていた加算などの名称や意味合いが変わったりとかなりややこしい印象です。
一包化加算が外来服薬支援料2と名前が変わり、しかも薬学管理料の方に入った等々・・・
また調剤報酬改定の施行が4月から6月に変わったことも少なからず影響がある部分であると思います。
これにより直近1年間の実績によって区分の判定するもの(調剤基本料など)について、6月1日~5月末で判定しなければなりません。
特に地域支援体制加算は薬局の利益に響く加算なので、前年4~5月の実績が換算されなくなると困る薬局は一定数あると思います。
ただ経過措置期間(8月末まで)もあるため、何とか乗り越えたいところです。
令和6年度調剤報酬改定の概要
※厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要 【調剤】より抜粋しています。
主なポイント
- 地域の医薬品供給拠点としての役割を発揮するための体制評価の見直し
- 質の高い在宅業務の推進
- かかりつけ機能を発揮して患者に最適な薬学的管理を行うための薬局・薬剤師業務の評価の見直し
詳細
①地域の医薬品供給拠点としての役割を発揮するための体制評価の見直し
- 調剤基本料の評価の見直し:調剤基本料の引き上げ、調剤基本料2の算定対象拡大による適正化
- 地域支援体制加算の見直し:かかりつけ機能を適切に評価する観点から要件を強化、点数の引き下げ
- 連携強化加算の見直し:改正感染症法の第二種協定医療機関の指定要件を踏まえた見直し
- 医療DXの推進:電子処方箋、マイナ保険証利用率、電子カルテ情報共有サービス、電子薬歴等を確保している場合の評価を新設
- その他の見直し:敷地内薬局の見直し
②質の高い在宅業務の推進
- 在宅業務に係る体制評価:ターミナルケア、小児在宅医療に対応した訪問薬剤管理指導の体制を整備している薬局の評価を新設
- ターミナル期の患者への対応に係る評価充実:
- 在宅患者への薬学的管理及び指導の評価の拡充:処方箋交付前の処方提案に基づく処方変更に係る評価新設、退院直後などの計画的な訪問が始まる前に患家を訪問して多職種と連携した薬学的管理・指導を行った場合の評価新設
- 高齢者施設の薬学的管理の充実:①ショートステイの利用者への対応、②介護医療院、介護老人保健施設の患者に対して処方箋が交付された場合の対応の評価新設(服薬管理指導料3)、施設入所時等に服薬支援が必要な患者に指導等を行った場合の評価新設
③かかりつけ機能を発揮して患者に最適な薬学的管理を行うための薬局・薬剤師業務の評価の見直し
- かかりつけ薬剤師業務の評価の見直し:業務の負担を軽減するための措置、吸入指導・フォローアップ業務の評価が算定可能になるよう見直し
- 調剤後のフォローアップ業務の推進:糖尿病患者の対象薬剤拡大(インスリン製剤・SU剤→糖尿病薬全般へ)、慢性心不全患者へのフォローアップの評価を新設
- 医療・介護の多職種への情報提供の評価:ケアマネージャーへの情報提供の評価を新設、リフィル処方箋調剤に伴う医療機関への情報提供の評価を明確化
- メリハリをつけた服薬指導の評価:ハイリスク薬の服薬指導における算定対象となる時点等の見直し、特に患者に対して重点的に丁寧な説明が必要となる場合における評価を新設
- 自家製剤加算の見直し:嚥下困難者用製剤加算の廃止(飲みやすくするための製剤上の調製を行った場合の評価を、自家製剤加算での評価に一本化)、供給不足によりやむを得ず錠剤を粉砕等する場合でも加算が算定できるよう見直し
このようなことが明記されています。
ただ、これだけでは正直イメージしにくいです。
算定する上で具体的にどのような業務をしなければならないか、必要な実績はどのようなものかなど、厚労省の資料だけで完全に理解するのは厳しいと思います。
そのため理解の一助となる、【面白いほどよくわかる!調剤報酬シリーズ】について次項から紹介していきます。
面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.1 薬剤調製料編
まずは調剤報酬の基本の部分となる薬剤調製料編です。
vol.1ということもあり調剤報酬の成り立ちから丁寧に解説されています。
まず調剤料を理解するためには「1調剤」「1剤」という単位を知る必要があります。
この見分け方についてもくわしく解説されていますのでご安心ください。
その他、以下の薬剤調製料の「加算」についてもどうしたら算定できるか解説されています。
- 外来服薬支援料2(旧一包化加算)
- 計量混合加算
- 自家製剤加算
- 麻薬等の加算
また付録資料として麻薬・向精神薬の取り扱いに関わる解説もされています。
麻薬小売業者の免許の有効期間など、管理者では特に知っていなければならない内容ですので、ご参考にしていただければと思います。
基本をすでに理解できている方に関しては、令和6年度から嚥下困難者用製剤加算が廃止されて自家製剤加算に一本化されたという部分についてアップデートできれば大丈夫だと思います。
また同加算では、供給上の問題があり入手困難な薬品について、粉砕・脱カプセルなどで対応した場合、散剤の剤形製品がある場合でも自家製剤加算が算定可能になった点は大きいです。
※ただし算定する際は、レセプト摘要欄に以下のような記載が必要となりますのでご注意下さい。
- 必要な数量が確保できなかった薬剤名
- 確保できなかったやむを得ない事情
例:タミフルドライシロップ3%が供給不足のためタミフルカプセル75mgを脱カプセル
以前は小児科に限って同加算が算定できましたが、今回の改定ではこの制限がなくなったのは現場を配慮してのことと思います。
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面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.2 調剤基本料編
次は調剤基本料編です。
調剤基本料は、調剤基本料1・2・3、特別調剤基本料A・Bの計5つに区分されます。
それぞれの判定方法や特別調剤基本料におけるペナルティなどについて解説されています。
また、以下の調剤基本料の「加算」についても算定方法、施設基準などがくわしく解説されています。
- 後発医薬品調剤体制加算
- 地域支援体制加算
- 連携強化加算
- 医療DX推進体制整備加算
- 在宅薬学総合体制加算
地域支援体制加算に関しては点数が減算され、実績要件がやや厳しくなった印象です。
また第5章で、令和6年度に大きく変更・追加された加算として連携強化加算、医療DX推進体制整備加算、在宅薬学総合体制加算の解説がされていますので要チェックです。
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面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.3 薬学管理料編 ー前編ー
次は薬学管理料編ですがボリュームが多いため前編・後編とわかれています。
本書では在宅以外の薬学管理料に関する内容となっています。
1,2章では薬学管理料の基礎的な部分の解説がされています。
それ以降はそれぞれの管理料+加算について算定要件などが解説されています。
3章:調剤管理料+以下の加算
- 重複投薬・相互作用等防止加算
- 医療情報取得加算
4、5章:服薬管理指導料(旧薬剤服用歴管理指導料)+以下の加算
- 麻薬管理指導加算
- 特定薬剤管理指導加算1
- 乳幼児服薬指導加算
- 小児特定加算
- 情報提供に関する加算・報酬
6章:服薬情報等提供料と関連する以下のような加算・報酬
- 服薬情報等提供料1・2・3
- 吸入薬指導加算
- 調剤後薬剤管理指導料1・2
- 特定薬剤管理指導加算2
7章:かかりつけ薬剤師に関する報酬・加算
8章:支援に関する以下の報酬
- 外来服薬支援料1
- 服用薬剤調整支援料
- 経管投薬支援料
医療情報・システム基盤整備体制充実加算が医療情報取得加算へ名前が変わったこと、ケアマネジャーへ情報提供を行った場合に服薬情報等提供料2が算定できるようになったことなどが変更点として押さえておきたい所かと思います。
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面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.4 薬学管理料編 ー後編ー
続いて薬学管理料編の後編です。
本書では薬学管理料の中でも在宅医療に関する内容になっています。
在宅医療は患者さん宅を中心にケアを行うため、通常の業務とはかなり異なる部分があります。
処方箋に基づいて調剤を行うのはもちろんのこと、併用薬の一元管理、必要に応じてお薬カレンダーなどに薬をセットするなどの服薬支援も求められます。
薬学的管理計画を立て、訪問、医師やケアマネジャーへの報告といった一連の流れで行っていきます。
基本的に計画通りに行う必要がありますが、病状の急変等で計画外の薬学管理を行う場面もあります。
これらの業務をする上で算定できる加算やルールなども網羅的に解説されているため、在宅医療に自信がなかったり不安な方には必見の1冊です。
特に令和6年度改定では、在宅患者調剤加算が廃止され、在宅薬学総合体制加算が新設されたのが大きな変更点かと思います。
この在宅薬学総合体制加算は1・2と2区分あります。
同加算2を算定するには医療用麻薬の備蓄や無菌製剤処理を実施する設備を備える必要があり、ハードルはかなり高いです。
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面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.5 薬剤料編
続いて薬剤料編です。
あまり改定の影響が少ない部分ですし、調剤報酬の中では一番シンプルな部分かと思います。
本書では以下のような内容がわかります。
- 薬剤料の基本
- 薬剤料の計算の仕方
- 衛生材料・保険医療材料・特定保険医療材料
- その他の費用徴収
- 投与日数制限
- 力価の計算方法
この中で大きな変更点は、令和6年10月から「長期収載医薬品の選定療養」が開始されるという部分かと思います。
選定療養の適用の長期収載医薬品とは以下の条件を満たす先発医薬品です。
- 後発医薬品発売後5年を経過している
- 後発品の置換率が50%に達している場合
実際にはもう少し計算方法が複雑ですが、後発品との価格差の4分の1が自己負担となるようなイメージです。
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面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.6 時間外加算等 夜間・休日等加算 編
最後に時間外加算等 夜間・休日等加算編です。
慣れていないと割とややこしい時間外加算、休日加算、深夜加算について違いを解説されています。
また夜間休日等加算を算定するための施設基準など細かい部分についても知ることができます。
※番外編のような形ですので、紙の書籍ではVol.2の付録として掲載されています。
電子書籍派の方はこちらから購入いただければと思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
新設の加算などは私共も手探り状態で算定しています。
しかし個人的には調剤後薬剤管理加算については、糖尿病・心不全治療に関して積極的にフォローアップを行っていた部分であるため、それが評価される形となったのは嬉しいと感じています。
地域によっては独自のルールがあると思いますので、それに従っていただければと思います。
私の地域のルールでは嚥下困難者用製剤加算、自家製剤加算が全国ルールとかけ離れた内容で困惑していました。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。
それでは。